クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~

 部屋を出てエレベーターを降りと、彼女は宗一郎の腕にそっと手をかけた。

 ひとりで帰るわけじゃないことや、ましてや彼女の連れがスラリと背の高いイケメンで、ブラックカードを出すようなハイスペックな男性であることを誇りに思っているのかもしれない。

 彼がチェックアウトを済ませる間、彼女はうっとりと瞳を潤ませながら彼を見上げ、満足げな微笑みを浮かべてはロビーを見渡したりしていた。


 彼の車の助手席に乗った彼女は、その余韻のまま話をはじめる。

「ねぇ? 宗一郎さんのお仕事って、オンラインのゲームを作っているっていうことでいいのよね? パパがね、一体どこの誰と食事に出かけるんだって心配しちゃって」

 返事を促すこともなく、彼女の話は続く。

「宗一郎さん、ディナーのメインディッシュ残したでしょう?鴨肉のロティ。私思うんだけど、シェフが代わったんじゃないかしら。今夜のお料理少し味が変だったと思うのよ」

 自分はいま、一体何をやっているのだろう?

 聞くとはなしに彼女の話を聞きながら、宗一郎はそんなことを思い、ため息をつく。
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