クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
「紫織さん、飲まないんですかぁ?」
「あ、ごめんね。私、それほど強くなくて」
以前よりは飲めるようにはなったけれど、ビールにしろワインにしろお酒は三杯が限界だとわかっている。
なので酔い過ぎないように、ソフトドリンクを挟みながらゆっくりと飲む。それは働き始めて身に着けた知恵だ。
「えー、いいなぁ。私、ザルなんですぅ」
光琉は面白い子だった。
見た目も話し方もとっても可愛らしいのに、言うことはあまり可愛らしくはない。むしろ男らしいのだ。
「光琉ちゃんはいつ入社したの?」
「えっとぉ、うーん。三年前ですねぇ」
「そう。やっぱりコンピューターとかゲームとかに詳しいとか?」
「ううん」と光琉は左右に首を振る。
「ぜーんぜん。まぁスマホのゲームなら時々しますけどぉ、すぐ飽きちゃってダメですねぇ」
「そうなの?」
「はい。私ね、キャバクラで働いていたんですよ」
思わずブッとビールを吹き出しそうになった。
「キャバクラ?」
「はい。で、そこでちょっと喧嘩しちゃって。路頭に迷うところだったんですけどぉ、鏡原社長に拾われたってことです」