クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
 二次会はカラオケだ。

「さあ、藤村さんも一曲どうぞ!」と、タッチパネルの目次録を渡された。

「えっ? わ、私は」

「紫織の演歌はちょっと凄いんですよ」

 ――もぉ課長! 余計なことを!

 花マルの森田社長は演歌が好きだった。
 リクエストをされて演歌を歌ったところ大ウケして、以来すっかり演歌の紫織と呼ばれていたが、それをまさか。
 このスタイリッシュでお洒落な会社でもやれと言うの!?

「えええ? 聞きたーい!」
「あっ、いや、あ、あれは」

 紫織が身につけたお稽古事の中には声楽というのもある。
 なのでカラオケが特に好きというわけでも、嫌いというわけでもなかったが、歌えばなんでもそれなりに上手い。
 自慢じゃないが『花マル商事』の忘年会では、カラオケ採点で100点を出したこともある。

「紫織! 紫織!」と容赦なく掛け声が盛り上がる。

「え? えぇぇ」
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