クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
週が明けた月曜日。
光琉はいつものように上司、鏡原社長にコーヒーを出して、口を尖らせた。
「社長も来ればよかったのに。すっごく楽しかったですよぉ」
「ふーん。それは良かったな」
「紫織さんの演歌最高だったんですから」
「へえー」
「もぉ」
パソコンに向かってキーボードを叩き続け、全く話に乗ってこない彼にため息をついた光琉は、あきらめたように肩を落として社長室を出た。
扉が閉まると同時に、彼はぴたりと指を止めた。
ガタッと音を立て背もたれに体を預けると、大きくため息をつく。
演歌を熱唱する紫織――。
まさかの光景だった。
紫織とカラオケに行ったことなどなかったし、行こうと思ったことすらなかった。恥ずかしがり屋で控えめな彼女が、人前で歌を歌うことなど嫌がるだろうと思っていたし、あえていくほど自分もカラオケが好きなわけじゃない。
『私がここに居てはいけませんか? 藤村』
『まじでいるつもり?
落ちぶれたもんだな 鏡原』
あんなやり取りをした後だ。
出来ることなら行きたくはなかった。
なんとか理由をつけて一次会は行かなかったが、いままで新入社員の歓迎会に顔を出さなかったことはないのである。
さすがに大人気ないかと、思い直した。
重い腰を上げ、少しだけと思って顔を出しに行ったカラオケ店。
彼女のことだ、自身の歓迎会とはいえ一次会だけで帰ったのではないかと思って覗いた部屋。
聞こえて来た歌声に、部屋を間違ったと思ったが。――まさか。
光琉はいつものように上司、鏡原社長にコーヒーを出して、口を尖らせた。
「社長も来ればよかったのに。すっごく楽しかったですよぉ」
「ふーん。それは良かったな」
「紫織さんの演歌最高だったんですから」
「へえー」
「もぉ」
パソコンに向かってキーボードを叩き続け、全く話に乗ってこない彼にため息をついた光琉は、あきらめたように肩を落として社長室を出た。
扉が閉まると同時に、彼はぴたりと指を止めた。
ガタッと音を立て背もたれに体を預けると、大きくため息をつく。
演歌を熱唱する紫織――。
まさかの光景だった。
紫織とカラオケに行ったことなどなかったし、行こうと思ったことすらなかった。恥ずかしがり屋で控えめな彼女が、人前で歌を歌うことなど嫌がるだろうと思っていたし、あえていくほど自分もカラオケが好きなわけじゃない。
『私がここに居てはいけませんか? 藤村』
『まじでいるつもり?
落ちぶれたもんだな 鏡原』
あんなやり取りをした後だ。
出来ることなら行きたくはなかった。
なんとか理由をつけて一次会は行かなかったが、いままで新入社員の歓迎会に顔を出さなかったことはないのである。
さすがに大人気ないかと、思い直した。
重い腰を上げ、少しだけと思って顔を出しに行ったカラオケ店。
彼女のことだ、自身の歓迎会とはいえ一次会だけで帰ったのではないかと思って覗いた部屋。
聞こえて来た歌声に、部屋を間違ったと思ったが。――まさか。