クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
――変わったんだな、紫織。
俺にあんな酷いことを言われても、食い下がって。
あの時だって、泣いて帰ってしまうかと思ったのに、変わらずに出勤しているし。
廊下ですれ違っても平然としている。
「くっそぉ」
頭を抱えた宗一郎は、スマートホンを取りだした。
忙しく画面に指を滑らせてメッセージを送る。
『今夜、食事でもどうかな』
間もなく返事が来た。
『うれしい!』
『この前のホテルで八時。スイートルームを取るから、食事は部屋で取ろう』
沢山のハートマークが並んだ返事を見て、スマートホンを閉じる。
『恋愛に夢を見ているからですよぉ。社長、恋愛なんて結局、幻想なんです』
光琉が言った言葉が浮かんだ。
――そんなんじゃない。
俺が見ているのは現実。
夢なんて、みたところでどうにもならない。
骨の髄までわかってるよ。