クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
その夜。宗一郎は、彼にしては随分早く会社を出た。
向かった先は、昼に約束したホテル。
スイートルームの予約は既に電話で済ませている。
ロビーで待っていると彼女が現れた。
入口から入ってくる彼女をまじまじと見ながら、うんうん、やっぱり綺麗な子じゃないかと思った。
その証拠に彼女は周りの男の目を集めている。
上品で楚々としたワンピースに、何が入っているのか不思議なほど小さなバッグ。細い足首に、いまにも折れそうな高いピンヒール。
パパに買ってもらっただろうブランド品の数々は、どれもこれも彼女に似合っている。
延々とひとりでしゃべり続ける癖は面倒だとは思うが、生意気なことを言うわけでもないし、邪魔をするわけでもなく、聞き流せないこともない。
胸だって大きいし、腰は細いし、肌はピチピチだ。
――悪くない。
なにも急いで別れることはない。まだ慣れていないからだ。
「ごめんなさいね。待った?」
「いや」
自分が男を待たせたということに満足しているのだろう。
うっとりと微笑んで宗一郎を見上げた彼女は、彼の腕に指をかける。
――大丈夫さ。
食事をしてまた絡み合えば、今夜こそ、今までとは違う気持ちになれると思った。
――そうだ。今夜こそ。
なのに……。