クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~

 剥き出しの胸に吸い付いて、喘ぎ声を聞きながら、どんどん冷めていく自分に泣きたくなった。

 ――なぜだ。
 どうしてなのか、誰か教えてくれよ。
 なぁ光琉。俺は、夢なんか見ちゃいないぞ?

 お詫びのつもりで何度かイカせて、ぐったりした彼女に向けて言った言葉は、口から勝手に出てきた。

「今夜で最後にしよう。じゃあな」
「――え?」

「俺は先に帰る。会計は済ませておくから」

「そ、宗一郎さん?」



 次の日。

「社長? どうしたんですかぁ?」

「ん―?」

「なんだか寝てないみたい。目の下のクマ、酷いですよぉ?」

 指先で光琉を追い払い、宗一郎はガックリと肩を落とす。

 ――はぁ。
 結局、昨夜は眠れなかった。

 彼女のピンヒールと、紫織の演歌の熱唱と。 彼女の喘ぎ声と、紫織のメッセージの返信と。

 延々と頭に浮かぶその幻影に、一睡もできなかったのである。
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