クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
 ――どうして月曜から誘ったりしたんだ?
 なにを血迷ったんだ、俺は。

 週の後半ならまだしも、月曜からこれでは流石に身が持たない。

 疲れて見えても当然で、実際、頭の中は蜘蛛の巣がはりめぐらしているように、薄ぼんやりとしていた。

 午後には大切な客も来る。
 パフォーマンスが落ちた状態で会議に臨むわけにはいかない。

 ――やっぱり寝るか。


 部屋を出ると、すぐそこには秘書の光琉の席がある。

「悪いな、少し寝るわ。一時間過ぎても部屋から出てこなかったら、その時は頼む、起こしてくれ」

「はーい。ぐっすり寝てくださいねー」

 光琉にそう言付けて、上着だけを脱いで長椅子に横になった。

 ――昨日なら、上手くいくと思った。
 金曜まで待っていては、また気持ちが変わるかもしれない。
 あの勢いなら。
 そう思ったから、昨日……。

 グッタリと疲れが心と体を襲い、ストンと落ちるように宗一郎は眠りについた。

 余程疲れていたのだろう。アラームで起きるまでの一時間。完全に熟睡できたらしい。
 目覚めと同時に、頭の中はすっきりと冴えわたっている。

 扉を開けると、光琉はクスッと笑った。

「よく眠れたみたいですねー。顔色がよくなりましたよぉ」

「ああ。すっきりしたよ。で? なにかあったか?」

「はーい」

 光琉が差し出したメモには、三件の電話があったことが書いてある。

「あとは、営業のホシさんから相談したいことがあるそうでーす。午前中ならいるって言ってました」

「わかった。サンキュー」

「社長、お昼は何にします? パクチーたっぷりのタイ料理はどうですかぁ?」

 宗一郎の昼食はいつも光琉まかせのデリバリーだ。

「それでいいよ。ただし、パクチ抜きでな」

「美味しいのにぃ」

 口を尖らせる光琉をクスッと笑って、早速エレベーターに向かう。
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