クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
イライラとしたトゲ立つ気分のまま、エレベーターのボタンをダダダと連打した。
『花マル商事』の、ふたりの社員を雇ってほしいという条件。男のほうばかり気にしていて、女性の方は全く気にしてもいなかった。
せめて履歴書を先に預かっておけばこんなことにはならずに済んだだろう。
いや、履歴書を見てからでは遅い。もっと慎重に、とにかくもう少し調べてさえいれば。
エレベーターを降りて吹き抜けから階下を見下ろすと、紫織の席の端のほうが見える。
彼女本人は見えないが、さっきいた開発部の社員の後ろ姿は見えた。
――まだいるのか。
「はぁ」
右手を額にかけて首を振ると、ひょいと光琉が顔を覗かせた。
「社長、大丈夫ですかぁ? やっぱり疲れが取れないんですねぇ? 今日こそ早く帰ったほうがいいですよ。社長、マジで働き過ぎなんですからぁ」
「あぁ、そうするよ」
――紫織が社員になったからって、どうだっていうんだ。
『花マル商事』の、ふたりの社員を雇ってほしいという条件。男のほうばかり気にしていて、女性の方は全く気にしてもいなかった。
せめて履歴書を先に預かっておけばこんなことにはならずに済んだだろう。
いや、履歴書を見てからでは遅い。もっと慎重に、とにかくもう少し調べてさえいれば。
エレベーターを降りて吹き抜けから階下を見下ろすと、紫織の席の端のほうが見える。
彼女本人は見えないが、さっきいた開発部の社員の後ろ姿は見えた。
――まだいるのか。
「はぁ」
右手を額にかけて首を振ると、ひょいと光琉が顔を覗かせた。
「社長、大丈夫ですかぁ? やっぱり疲れが取れないんですねぇ? 今日こそ早く帰ったほうがいいですよ。社長、マジで働き過ぎなんですからぁ」
「あぁ、そうするよ」
――紫織が社員になったからって、どうだっていうんだ。