クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
 ここは、会社の入り口の真ん前で、いま隣には光琉と、開発部の社員ふたりがいる。

「はい。さぁさぁ、入った入った」
 気を利かせたのか、光琉が社員ふたりの背中を叩くようにして中に入っていく。


「悪いな、いま仕事中なんだ」

「だから、何度も電話もしたし、メッセージも送ったのよ」

 着信には気づいていた。
 
 逃げたわけじゃないし、忙しかったのも嘘じゃないが、それを言ったところでどうにもならないだろう。

「それで?」

 ――どうしようっていうんだ?

「どうしうことなの? いきなりもう会わないって言われても、私……。あなたの事、パパにもう言ってしまったし」

「じゃあはっきり言うよ。俺は君とつきあうつもりはない。君を勘違いさせたなら申し訳ないと思ってる。すまない」

 頭を下げた。

「そんな」

 ポロポロと涙を零す彼女を目の前にしても、申し訳ないが心はびくとも動かなかった。

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