クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
「そういえば紫織、パーティ、着る物あるのか?」
「あ、そっか、明日ですね」
明日夕方六時から、近くのホテルでここ『SSg』の設立記念パーティがある。
紫織のお財布事情に詳しい上司は、どうやら心配しているらしい。
「俺の彼女にドレスを借りてやろうか? ちょっと胸が緩いかもしれないけどな」
「またもぉセクハラ発言。失礼じゃないですか課長ったらもぉー。大丈夫ですよ。私、ドレスはなくても着物ならありますから」
「あ、そっかそっか。お前は呉服屋の娘だもんな」
「もと呉服屋ですけどね」
着物の着付けは自分で出来る。
それは紫織が呉服屋の娘であることの名残のようなものだった。
「着物かぁ、うーん。それは楽しみだな」
「惚れないでくださいよ」
クスクスと笑い合った。