眠れない夜は、きみの声が聴きたくて


早坂は女友達のひとりだ。艶のある長い髪の毛はふんわりと巻かれていて、まつ毛もくるんと上に向いている。

この町では一番のべっぴんだと言われていて、田舎育ちにしては垢抜けているほうだと思う。

「そういえば今日さ、珍しくスマホばっかり見てたね」

自転車を走らせてすぐに、そんな言葉が後ろから飛んできた。

方言というほどではないけれど、首を傾げるくらいのイントネーションの差はある。最初は喋り方に違和感を感じていたけれど、最近はとくに気にすることもなく、むしろ移ってるよと言われることも多い。

「スマホ? 気のせいだろ」

「まさか出会い系アプリとかやってないよね?」

「してねーよ」

「本当かな」

たしかに今日は学校でスマホの画面を眺めてる時間が多かった。

響に電話をかけたのは衝動的でも気まぐれでも懐かしむためでもない。本当はずっとずっとかけようと思っていた。

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