眠れない夜は、きみの声が聴きたくて
*
ホームルーム終わりの放課後。帰り支度をしていると、友達が寄ってきた。
「響、たまには遊びにいこうよ」
「え?」
「この前は用事があるって言って行けなかったじゃん。だから今日こそみんなで遊ぼう!」
同じグループの友達たちが、うんうんと後ろで頷いている。
どうしよう。今日もお母さんから早く帰ってきてと言われている。でも、記憶にある限り前回も前々回も断っているし、さすがに今日もダメとは言いづらい空気だ。
「う、うん、いいよ」
タイミングを見計らって早めに帰れば大丈夫だろう。
近場でぷらぷらするだけだと思いきや、電車に乗って都心部へと移動した。洋服を見たり、SNSで話題のケーキ屋に行ったり、おそろいで持てる雑貨などを探したりした。
すれ違う女子高生が同じようにはしゃいでいて、私もああやって他の人から楽しそうに見えているんだろうか。
そうだったらいいけれど、ふとした瞬間にやっぱり私は馴染めていないのではないかと、勝手に疎外感を感じている。
「あ、ねえ、見て。マキちゃんの動画アップされてるよ!」
「わあ、本当だ! マキちゃんって、マジで可愛いよね! 事務所に入ってる子なのかな?」
また私の知らない話になってしまい、先ほど買ったチーズティーを無言で飲む。元からチーズ類が得意じゃない私には濃厚すぎる味だ。
でもみんな美味しいって言ってたし、残したりしたら気を遣わせてしまうかもしれない。飲めるうちに飲んでしまおうと、一気にストローで啜った。