眠れない夜は、きみの声が聴きたくて






ホームルーム終わりの放課後。帰り支度をしていると、友達が寄ってきた。

「響、たまには遊びにいこうよ」

「え?」

「この前は用事があるって言って行けなかったじゃん。だから今日こそみんなで遊ぼう!」

同じグループの友達たちが、うんうんと後ろで頷いている。

どうしよう。今日もお母さんから早く帰ってきてと言われている。でも、記憶にある限り前回も前々回も断っているし、さすがに今日もダメとは言いづらい空気だ。

「う、うん、いいよ」

タイミングを見計らって早めに帰れば大丈夫だろう。

近場でぷらぷらするだけだと思いきや、電車に乗って都心部へと移動した。洋服を見たり、SNSで話題のケーキ屋に行ったり、おそろいで持てる雑貨などを探したりした。

すれ違う女子高生が同じようにはしゃいでいて、私もああやって他の人から楽しそうに見えているんだろうか。

そうだったらいいけれど、ふとした瞬間にやっぱり私は馴染めていないのではないかと、勝手に疎外感を感じている。

「あ、ねえ、見て。マキちゃんの動画アップされてるよ!」

「わあ、本当だ! マキちゃんって、マジで可愛いよね! 事務所に入ってる子なのかな?」

また私の知らない話になってしまい、先ほど買ったチーズティーを無言で飲む。元からチーズ類が得意じゃない私には濃厚すぎる味だ。

でもみんな美味しいって言ってたし、残したりしたら気を遣わせてしまうかもしれない。飲めるうちに飲んでしまおうと、一気にストローで啜った。

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