眠れない夜は、きみの声が聴きたくて
あちらこちらから視線を感じると思えば、廊下にいた生徒たちが三浦のことを見ていた。
彼は太陽みたいに明るい人だから、どこにいても目を惹き付ける。「旭だ」「旭じゃん」「旭がいる」こんなにも名前を呼ばれている人は他にいないと思う。
「親睦会って言ってもみんなでボーリングして飯食うみたいな感じなんだけど。あ、もちろん割り勘で!」
「………」
「だから市川も来ればきっと楽しいよ」
楽しい? どうしてそんなことが言い切れるの?
私のことを良く思っていない人たちがたくさんいて、それに気づいていないはずがないのに、なんでしつこく誘ってくるの?
「いい人って疲れない?」
「え?」
「私は三浦を見てると疲れるよ」
ひどいことを言ったという自覚はあった。でも、そう思ったのは本当のことだ。
周りからうざったいほどに好かれていて、こんな私にさえ色眼鏡は使わない。
私はべつにみんなと仲良くなりたいと望んでいるわけではないのだから、ここに労力を費やすだけ無駄だと思ってしまった。