友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
私はカバンから小さなメモ用紙を出して、そこに『ありがとうございました』と書き、家のポストに入れた。実家のカギと一緒に。

もうここへは戻らない。

大切な娘の命を奪ってしまった私をここまで育ててくれただけでも感謝しないとならない。

感謝の言葉を直接伝えられないのは失礼かもしれない。

でも、両親は私の顔ももう見たくはないだろう・・・。

私は、ポストに向かったまま目を閉じて心で繰り返す。

ありがとうございました。

そしてごめんなさいと。
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