友達の恋人 ～ 一夜からはじまる愛の物語 ～

首をぶんぶんと横に振ると、渉はもう一度私の体を抱きしめた。

「もう、自分を責めるのやめろよ。」
「・・・」
「ずっとずっと、一人でなんでも背負って生きようとするなよ。」

抱きしめられたまま首を横に振る。

「望まれない子なんていない。」

この展望台で私が渉に言った言葉を思いだす。
『私は、望まれない子なの』

「俺は玲奈が生まれてくれたことに感謝してる。玲奈と出会えたことに感謝してる。」

誰からも言われたことの無い言葉。

渉の言葉を聞いた瞬間、あー私はこの言葉をずっと求めていたんだと知った。