友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
少し私が落ち着くと、渉はそっと体を離した。

ぐちゃぐちゃの顔をしている私に優しく微笑む。

「一緒にいよう」
「・・・・」
「一緒に帰ろう」

ついさっきの、実家のポストにカギを入れたことを思いだす。

私に帰る場所はもうない。

どこにもない。

うつむいた私の頭を撫でながら、渉は顔を覗き込む。

「・・・」
「玲奈?」

渉に話をしようか迷う。
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