友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
「今、どのくらい?」
「え?」
「今何か月?って聞いても俺、よくわかんないんだけど。どうやって数えたらいいか。」
「・・・」
渉の子だと言わない道もある。

ほかの誰かの子だと・・嘘をつく道もまだある。

「この子、もうお腹の中で俺たちの話、聞こえてるんだろ?」
「・・・」
「いや、きっと聞こえてるよな。」

そう言いながら渉は立ち上がり、私の前にしゃがんだ。

「じゃあ、一緒に聞いてほしい。」
渉は私の手に母子手帳を握らせると、その上から自分の手で私の手を覆った。

「玲奈」
これからなんと言おうとしているのかが分からない。
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