友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
こんなにも渉が何を言おうとしているのかわからないことはなかった。

不安で手が震えるのを渉の手が握りとめてくれる。

緊張して冷たくなる手を渉の手のぬくもりが温めてくれる。

「気づいてやれなくてごめん」
「・・・え?」
「一人で・・・不安だっただろ?・・・つらかっただろ。」
その言葉に涙があふれてしまう。

溢れる涙を止められない分、首を横に振る。

「ごめんな。気づけなくて。」
辛そうな渉の顔。

そんな顔をさせたかったわけじゃない。
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