友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
「いただきます」
母親は看護師だ。
きっと妊娠している私を気遣ってくれている。

素直にうれしくて、緊張で震えていた体が少し落ち着いた。

「改めまして藤原渉と申します。ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。」
渉が話始めた。

「別に挨拶なんてよかったのに。しらない人でもあるまいし。」
母が言う。渉に聞いた話を思い出した。
緑ヶ丘公園に私たちがいることを母は知っていたと。

「いえ、ご挨拶もしていないのに、いろいろと順番が違い申し訳ありません。」
「いまどきめずらしくない。」
父も話に入る。

事前に渉が連絡してくれていることもあり、話は和やかな雰囲気で進んだ。
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