友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
姉は幼いころからなんでも器用にできるタイプで、優しく愛想も特段よく、周りから好かれるタイプだったと両親はいつも話してくれた。
ピアノと習字を習っていて、コンクールや展覧会に出品すると数々の賞を受賞していたらしく、家には姉の賞状や盾がたくさん並んでいる。

成績も優秀。
非の打ちどころのない姉。

両親はかなり溺愛して育てていたという。

姉はよく私と遊んでくれて、私は姉に髪を結んでもらった記憶がうっすらと残っている。優しい光に包まれた姉の微笑みも、少しぼやけてはいるが記憶に残っている。

そんな姉は、私が幼かったころに病気になった。
ある日突然鼻血が止まらなくなり病院へ行って分かった病気の名前は急性骨髄性白血病。

両親も、妹である私も、骨髄の提供はできなかった。
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