友達の恋人 ～ 一夜からはじまる愛の物語 ～

後ろから姉に抱きしめて止められた記憶が私にはある。

「里紗は自分の言ってしまったことの大きさにきっと気づいたんだろうな。それですぐに玲奈を追った。そこで・・・事故に・・・」
父も言葉に詰まった。

「里紗はね・・・」
母が涙を流しながら私の方を見る。
顔をくしゃくしゃにしたまま。
「里紗は・・・亡くなる前に言ったの。玲奈にいじわるしてごめんなさいって。自分のしてしまったことをちゃんと言ってくれた。」

姉の心の優しさを私はよく知っている。

そんな姉のことを操作していたのは病気だ。
でも、姉の心の奥は・・・やっぱり優しい。

「里紗の気持ちを知っているからこそ・・・私たちはあなたとどう関わればいいかわからなくなってしまった。・・・だって・・・里紗は死んでしまったけど・・・里紗の想いは・・・気持ちは・・・願いは・・・のこってるから・・・私たちの中に消えることなく・・・残ってるから。」