友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
姉が病院に運ばれたとき、病院の廊下で思い切り母に頬をぶたれて、父にも軽蔑のまなざしで見られたことを思いだす。

言葉にはしなくても、どうして死んだのが私じゃないのか?

私が姉を殺した。

そう伝わってきた。


私は5歳にならないくらいの時だった。
でも、今でもその時の両親のまなざしだけは鮮明に記憶に残っている。

両親の気持ちはずっと姉にあって、どうして私が今も生きていて、死んだのが私じゃないのかと思っているに違いない。

家にある唯一の子供部屋は今でも姉の物であふれていて、私は姉の部屋の半分ほどの広さの納戸にあたる部屋を与えられた。
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