友達の恋人 ～ 一夜からはじまる愛の物語 ～

「すごいね。よかったね。」
渉の広告を手にしながら微笑みかけると、渉はまだ耳を真っ赤にしたまま、笑い返してくれた。
「なんかいいな」
「ん？」
「自分のことを、ほめてくれて、わかってくれて。俺のことを一緒に喜んでくれる。」
私の頬に渉が手を伸ばす。
「そういう存在って、やっぱりいいな。」
「そうかな」
「そうだよ」
香澄も”そういう存在”だったのか気になりながら、今夜はまだ話を切り出さないことに決めていた私は、気になる自分の気持ちすら胸の奥にしまい込んだ。

「私も」
「ん？」
「私のことなのに、渉が両親に連絡をとってくれたり、姉とのことも自分のことみたいに話を聞いて、一緒にわかってくれるのが・・・」
今日起きた出来事なのに、もうずいぶん時間がたったように感じる。
「私のことを私以上に考えて、わかってくれているのが、すごくうれしかった」
渉が私の体をそっと抱き寄せて、渉の体にもたれかかるようにした。