友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
心まで委ねるようにして座りながら私は渉の方を見る。
「うれしかったって言葉じゃ足りないくらい」
「俺も、さっきの玲奈の言葉がうれしかった」
お互いに微笑みあってから、私は渉の胸に自分の頭を寄せた。

リラックスした雰囲気の中、渉が私を後ろから抱きしめて、お腹に手をまわす。

「今日は疲れただろうな、この子も。」
「うん」
「少しお腹張ってるな。」
「うん」
「足あげるか?マッサージしようか。それとも風呂に入って体あっためるか」
あれこれ言って私を気遣ってくれる渉の顔はいつだって真剣そのものだ。

「なんか、落ち着く」
後ろから渉に抱きしめられて、体をもたれて、すべてを預けている体勢がやけに落ち着いた。

目を閉じると渉の鼓動が響いてくる。
温かい体温も伝わり、十分に睡眠をとった体でも眠気を感じてしまう安心感だった。
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