友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
「でも、時々迷うと思う」
渉はちゃんと私に不安も言葉にしてくれる。

幼いころの自分の経験から、家族のカタチが分からないことが渉には不安らしい。

赤ちゃんへの想いは誰にも負けなくても、それでもちゃんと愛せるだろうか。
思いを伝えられるだろうか。
正しい選択ができるだろうかと。

私はお腹に触れている渉の手に自分の手を重ねた。

不安な気持ちは私も一緒だ。

今日、両親の想いや姉の想いを知ったばかりの私。
私の家族のカタチも”普通”とは違う。

どんなにお腹の赤ちゃんへの気持ちが大きくても、大変なことも難しいこともきっとたくさん待っているはずだ。

そこを乗り越えていくことができるか、正直不安もある。
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