友達の恋人 ～ 一夜からはじまる愛の物語 ～

完全につわりがなくなり、私は妊娠してから一番動きやすい体調で過ごせている。
つい動きすぎて渉に怒られながらも、私はやっと渉に食事を作ったり、家事をして仕事をサポートできているような気がしてうれしかった。

ずっと迷惑ばかりかけていたことが私の中で気がかりだった。

「でも、最近朝食も夕食もかなり気合入れて作ってくれてるだろ？今日くらいさぼっていいだろ」
「外食がよかった？」
意地悪な質問をすると渉が笑いながら首を横に振る。
「朝は玲奈の作る味噌汁が最高だろ。でも、それじゃあ休めないだろ？」
「できてるよ。お味噌汁。ごはん食べよう」
「・・・おう」

寝ぐせ頭のまま私にいいくるめらてたじたじになる渉を見て私が笑うと、「負けだよ、俺の」と私の頭をポンと渉が撫でた。

「あーお腹すいた～」
ダイニングテーブルに座り大きなあくびをしている渉の飾らない姿に、隠せない微笑みを浮かべたまま私は朝食の支度を再開した。