友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
香澄の気持ちを知った時、素直に応援できなかった。
そのくらい渉が好きだった。

大切だった。

香澄への感謝の気持ちを忘れたわけじゃない。

でも、誰よりも大切だった香澄よりも、渉への想いの方が膨らんでしまった自分をごまかすために、私は・・・目をそむけて、見ないようにしたんだ。


「ごめんなさい」

私はそっと渉の手から、自分の手を離して、渉に頭を下げた。

「幻滅したでしょ。今まで・・・今日まで言わないでいてごめんなさい。」

籍を入れる前に、言わなくてはならないと決めていた話。
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