友達の恋人 ～ 一夜からはじまる愛の物語 ～

俺はそっと寝室の扉を開けた。

そこには扉の方を見ながら、無数の涙を流している玲奈がいた。

俺よりも頭ひとつぶんは背が低い玲奈。

華奢な体に、もう一人の命が宿っていると思うとまだ不思議な感覚を覚える。

本当にそこに命が芽生えているのだろうかと不思議に思うこともある。

でも、最近俺でも胎動を感じられるようになり、生きている。ここにちゃんと生きてくれていると感じられるようになった。

「玲奈」
俺が寝室の扉を開けると、玲奈は慌てたように俺に背を向けた。


体を震わせて泣いている玲奈。