友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
ハンドルを握る渉を見る。

まっすぐに前を向きながら運転する渉。

ハンドルを握る大きな筋張った手で、何度も涙を拭ってもらった。

あの話を聞いた日から、渉は今まで以上に私を支えようとしてくれている。

仕事の時間以外は離れず、ずっとそばにいてくれている。


うまく食事がのどを通らない私に、栄養のあるスープやおかゆなど、のど越しのいいものをたくさん作ってくれて、体調も管理してくれている。

お腹の赤ちゃんのことを考えて、ただ後悔して立ち止まるだけではだめだと、私も何とか自分自身をふるい立たせるように、香澄の実家へ行くことを決めている次の週末まで過ごした。

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