友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
「玲奈?」
渉の声に現実に戻る。

私の腕をがっしりとつかんだまま、背の高い渉が私の顔を覗き込む。

思わずその視線から逃れようと顔をそむけるとバランスを崩して私はふらつく足元が不安定になった。
「危ない」
もう一度離れそうになっていた私の腕をとっさに渉がつかんでくれたのに、私は大きくバランスを崩して、気づけば渉を巻き沿いにして地面に倒れこんでしまった。

「・・・っ!」
地面に体が打ち付けられる痛みを覚悟して目をギュッと閉じる私。
でも全くその衝撃が来ない。

固く閉じていた瞳を開けると、そこには渉の・・・白いシャツ。

私の体は渉の体の上にすっぽりとおさまっていて、渉が私を庇って下敷きになるように体勢を逆転させて倒れてくれたことが分かった。
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