友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
私の陣痛はなかなか進まず、かなり家でも時間がかかった。
産院からは10分間隔を切ったら病院に来るように言われて、渉はひたすら陣痛の間隔をはかるアプリに記録をしてくれた。
産院からの連絡で、渉はいろいろと指示を聞いて、落ち着きを取り戻した。

まだ陣痛の間隔が長い間にシャワーを浴びたり、食べられるときに少しでも食べられるように、小さなおにぎりを用意してくれたり、あらかじめ車に入院に必要なものを積んでくれたりと、いろいろ動いてくれた。

「頑張れ。痛いよな。代わってやりたいよ本当に。」
ソファで陣痛の痛みに体を丸めて、ひたすら深呼吸を繰り返している私の腰をさすりながら、渉の方が痛そうな声を出している。

「痛い・・・」
「うん。」
冬なのにじんわり汗ばみながら、痛みに耐える私。
「頑張れ。頑張れ。」
渉が一緒にいてくれるだけで、心強い。
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