友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
昔と違うのは、私が少し泣くのが落ち着いたとき。
昔は私が泣き止むと、私は自分の家に帰った。
渉は私を追いかけることも、私に声をかけることもしたことがなかった。
でも今日は違う。
「行こう」
「え?」
私の体を抱きしめたまま立ち上がり、渉はまだ足元がおぼつかない私の腰に手をまわして、歩き出した。その手の力から、逃れられないほど、少し私の足が浮くくらいの力で。
渉は私の腰をギュッと抱きしめながら歩く。
「どこに行くの?」
慌てて私が何かを言っても返事もせず、ただまっすぐ前を見て渉は歩く。
「渉?」
名前を呼んでも私の方をちらりとも見ずに渉は前だけを見て歩く。
昔は私が泣き止むと、私は自分の家に帰った。
渉は私を追いかけることも、私に声をかけることもしたことがなかった。
でも今日は違う。
「行こう」
「え?」
私の体を抱きしめたまま立ち上がり、渉はまだ足元がおぼつかない私の腰に手をまわして、歩き出した。その手の力から、逃れられないほど、少し私の足が浮くくらいの力で。
渉は私の腰をギュッと抱きしめながら歩く。
「どこに行くの?」
慌てて私が何かを言っても返事もせず、ただまっすぐ前を見て渉は歩く。
「渉?」
名前を呼んでも私の方をちらりとも見ずに渉は前だけを見て歩く。