友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
渉は再び立ち上がると私の前に立った。

「会いたかった」
「・・・ダメだって言ったでしょ?」

私の気持ちがあふれ出すから、それ以上言わないで。
今すぐ振り返って、この部屋を出て走りださなきゃ。
戻れなくなる。


香澄との約束を破るわけにはいかない。
渉を闇に引き込むわけにはいかない。

なのに、渉に見つめられると私の体は石のように動けない。

「会いたかった。ずっと玲奈に会いたかった。」
少しかすれた渉の声に、私はこらえきれず涙を流した。
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