友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
喫茶店についたのは約束の15分前。少し早く来てしまったかもしれないと思いながら店内に入ると、そこにはすでに渉が来ていた。

休日のスーツ姿とは違って、白のTシャツにカーキのズボンというラフな姿。

高鳴る胸を抑えながら、私の方を見て手をあげている渉の方へと近づく。

「よっ」
緊張気味な渉の言葉に、「よっ」と私も返しながら、向かいの席に座った。

「先にコーヒー頼んじゃったんだ。」
「そんなに早く来てたの?」
「20分くらい前」
「早いね」
「まぁな。緊張して早く来た。」
「・・・そう」

何となくぎこちない雰囲気の私たち。

「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
店員の声に救われる気持ちだ。
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