友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
「運命なんて俺、信じてなくてさ。むしろそんなものないってずっと思ってた。」
「・・・・」
「でも玲奈と偶然再会できた時、初めて運命ってあるのかもしれないって思えたんだ」
一度もそらすことなくわたしの目を見て話す渉。

言葉一つひとつが渉の本心であることが伝わって心にまっすぐ届く。

「俺、ずっと玲奈が好きだった」

一番求めていた言葉。
一番聞きたかった言葉。

でも聞いたらいけない言葉。

ギュッとテーブルの下で手を強く握り閉める。

感情を出さないように・・・

こらえる。

「公園で泣いてる玲奈を見て、どうしてはじめは泣いてんだろうって思った。でも、話しかけられなくて。」
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