友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~
緑ヶ丘公園の展望台。
私の泣き場所だった。

ベンチがふたつ並んでいて、片方に私。
もう片方に渉が座っていた光景を思い出す。

でもあの時、渉は何も言わないでいてくれた。

私にとってはそのほうがよかった。

気兼ねなく泣ける場所。
私が、私らしくいられる場所だった。

「いつも、玲奈をうまく支えられない自分の無力さが悔しかったんだ。」
「・・・」
「でも、玲奈が俺に話してくれただろ?お姉さんとのこと。」
「・・・うん」
「あの時、俺が支えたいって思った。玲奈のこと。ちゃんと支えられる男になりたいって」
「・・・」
< 94 / 367 >

この作品をシェア

pagetop