Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
「でも、私に離婚届を突きつけたのは豊よ…」

「だけど…豊は最後までお前との離婚は拒んだ…」

「それはどう言うコト?」

「俺は外で待機しておきます…西苑寺社長」

早乙女さんは私達の話を訊いてはいけないと思い、外に出た。

「お前が三度目の自殺未遂を起こした時、西苑寺家と神楽坂家で話し合いが行われた。でも、豊に離婚の意思は全くなかった。
俺が睦月を支えると断言した。豊に離婚して欲しいと迫ったのは母さんだ…」

「お母さんが?」

「・・・豊は母さんに迫られても…首を縦には振らなかった。
お前をココロから愛してるからだ。でも、母さんは豊に最後は土下座をして頼み込んだ。
旧財閥の名家の『神楽坂家』の嫁はお前には重すぎる、だから睦月は鬱になった。・・・本気で睦月を愛してるなら、別れるのが筋だと…」

私はその事実に愕然として、声も出なかった。

「・・・豊は母さんのキモチを汲んで、仕方がなく離婚を承諾した。
お前と俺達家族の仲を気遣い、豊は悪者になったんだ…」

「豊…!?」
じゃ自分を憎めと言ったのは私達家族の為?




「…四年経っても…豊の愛はブレてない。それ処は深くなっている…」

「兄貴…私・・・どうすればいいの?」

「・・・お前は豊に守られているんだ…だから、悪く言ってやるな・・・睦月」

「兄貴…私…」

堪らなく瞳の奥が熱い。
涙が止まらない・・・

でも、豊にどう言えば良いのか?分からない・・・

「睦月・・・」

「兄貴…本当のコト話してくれてありがとう…」



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