Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~

「佐久也さん、早く帰って来た時は朔斗君に絵本読んであげてんだ」

「まぁね…佐久也って意外と子煩悩な人だから…びっくりよ」

私達は食材の下ごしらえを終え、タッパーの蓋を閉めて、冷蔵庫に入れて行く。

「豊とはより戻さないの？」

「えっ？」

「有さんが心配して、私の所にライン送って来たから…」

「戻せないと言うか…」

私は語尾を濁した。

私にはよりを戻す意思はあるけど、豊にはなかった。

「やっぱり…神楽坂家の後継者の問題が…」

「その話なんだけど…佐久也と話をしたの…朔斗か…今お腹の中にいる子供のどちからを父の養子に迎えるのはどうかと…」

「えっ？」

「私達家族は豊の奥さんは睦月さんしか居ないと思っているの・・・」

「でも・・・佐久也さんは周防家の次期当主でしょ？」

「それが…彼は当主の座を従弟の周防颯真(ｽｵｳｿｳﾏ)さんに譲るそうよ…元々、彼は周防家とは血が繋がっていない養子だし。周防家の血を引く颯真さんが相応しいと総理にも言ったみたい」