Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
私は兄に渡された招待状の中身を確認した。

日付は一週間後の『ヘブンズホテル・有明』四十一階のグランドホール。

もしかして、この間バーに居たのは就任式の打ち合わせがあったとか。

「行く気になったのか?」

「別に…でもまぁ…神楽坂家にはお世話になってるし…」

「…そっかじゃ一緒に行くぞ…」

「一人で行く…」

「何だよ!?兄貴と同伴は嫌なのか?」

「いい加減…三十五歳にもなって…一度も結婚してないなんて…可笑しいわよ・・・」

「うるさい…恋人の一人ぐらいは居るから安心しろっ。そのうちに紹介してやるから…」

「…私に紹介するよりも先にお父さん達に紹介しなさいよ…」

私はコーヒーを飲み干し、腰を上げた。

「じゃ私は仕事の打ち合わせがあるから…」

私は短く手を振り、社長室を出て行った。
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