Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
コンペを終えたその足で豊が病院に駆けつけてくれた。
私と豊は一階の待合で待ち合わせした。

「西苑寺夫人の容体は?」

「大丈夫…」

「そっか…」

豊は安堵の息を漏らした。

「豊、来てくれて…ありがとう」

「そうだ・・・これ」

豊は上着のポケットから何かを取り出した。

「これは?」

「『ダイヤモンドホテル銀座』の最上階のフレンチレストランのディナー券だ…今度二人でディナーしよう…」

私は封を開けて中身を見た。

「本当だ…」

「俺達の復活祭だ…」

「睦月…」
兄貴が私達の元に来た。

「母さんの意識が戻ったって…」

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