Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
再婚
母も翌日には摩弥さんが入院するVIP病棟に移った。

「具合はどうですか?」

母も兄貴から豊との元鞘を訊いた。

「これ食べてください」と豊はカゴに入ったフルーツの盛り合わせを母に渡す。

「ありがとう…豊君」

私がカゴを受け取り、ソファのローテーブルに置いた。

「睦月と早く夫婦に戻りたいと言うキモチを抑えきれず…こうして挨拶に来ました」

「豊君…あの時はゴメンなさいね…」

離婚しないと断言した豊に離婚を迫った母はあの時の暴挙を謝罪する。


「あの時は仕方がなかったんですよ…睦月は精神的に追いつめられていたし・・・あのままいけば・・・俺だってどうなっていたか…分かりません。
あの時の俺達には時間が必要だったと思います…だから…西苑寺夫人の選択は間違っていなかったと思います」


「豊君…ありがとう…私に気を遣ってくれて」

「気なんて…遣っていませんよ…」

「・・・後継者の件ですが…」

「睦月から訊きました…神楽坂家としては不本意かもしれないけど…計らいには感謝します」

「俺達は二人でも…家族は家族です。
俺の妻はやはり…睦月しか居ません…生涯かけて…睦月を幸せにしますから…俺にもう一度睦月を任せて下さい…」

「…豊君…貴方に睦月をお任せします…娘を幸せにしてあげてください…」

「ありがとう御座います…」

私と豊は顔を合わせて、互いに瞳に涙を潤ませた。

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