Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~

筒見社長は奥様を秘書に据え、二人は公私共に二十四時間一緒に居た。

「どうぞ」

「ありがとう御座います」

「神楽坂社長はプライベートとビジネスをしっかりと分ける人だから…妻を秘書に据えてる俺を奇異に思ってるコトでしょうね…」

「え、あ…」

ココロではそう思っていても、顔には出てないと思っていたが、上手く隠せなかったようだ。
「そんなコトはありませんよ…」
俺は笑いで誤魔化し、コーヒーを口に含んだ。

「…引っ越したばかりで…あのマンションには知り合いが居なくて…できれば…近所の好で色々と教えて頂けたらと思います…」

「あ…構いませんよ…」

「妻は神楽坂社長の奥様の大ファンで…レシピ本は沢山持ってて、神楽坂先生のレシピ本を参考によく料理を作っています…最近は鱸のアクアパッツァを作りました」

「そうですか…」

俺は雑談ではなく、仕事を話をしたいんだけど…
筒見社長はベラベラと睦月の料理を話を続けた。

「社長…神楽坂社長にもお時間があるので…雑談はそれぐらいにして…仕事の話を…」

第一秘書の黒沼さんは俺の顔色を見て、社長に助言した。

「あ、すまない・・・つい・・・」