Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
「筒見社長もご結婚されて…変わりましたね…」
社に戻ろうと高速を走っていた。

「そうなのか?」

「はい…」
「ふうん」

俺は瀬川の言葉を適当に訊き、筒見社長から頂いた書類に目を通した。

フランスの有名なボタニカルブランドを買収したレオンは一号店を現在建築中の『ヘブンズホテル・ベイ東京』の別館のショピングフロアにオープンさせる予定で、筒見社長に交渉していた。

大手流通のサービスのレオンが化粧品業界にも参入したと話題にはなっていたが。

やはり、筒見社長の出す条件は厳しい。

「筒見社長とは睦月様の協力を仰ぎ、家族ぐるみでお付き合いされ、公私共に仲良くなった方が・・・よろしいかと…そうすれば…厳しい条件も緩和される可能性があると思います」

「瀬川もそう思うか…」

家族ぐるみの付き合いと言っても・・・俺と睦月には子連れの筒見夫妻は…
何かと波風が立ち、睦月はより一層子供を欲しがるような気がする。

俺は肺の奥から溜息を漏れ、頭が痛かった。


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