Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
初めての妊娠の時は不安と喜びが入り混じり、産婦人科に訪れた。
久しぶりに座った内診台。

紗羅さんから訊いた槇村先生は私達に歳が近く、若い男性医師だった。

「消毒しますね…冷たいと思いますが…我慢してくださいね・・・」

カーテン越しに聞こえて来るイケメンボイス。
イケメンの若いドクターにあそこを見られてると思うと羞恥でカラダが熱くなった。
******
内診室から移動し、元の診察室に戻った。
豊は何も言わず黙って、私の内診が終えるのを待ってくれていた。


次は診察室にある診察台に横たわり、エコー検査へと移る。
「旦那さん、見えますか?これが赤ちゃんの原形となる胎芽です。
これが心臓です…後で赤ちゃんの心臓音もお聞かせしますので待って下さいね…」


槇村先生は優しく私の下腹部にエコーを当てた。

私は妊娠していた・・・


でも、この大きな喜びを噛み締め、二人で何度も奈落の底へと突き落とされた。

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