Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
豊もしっかりとモニターを見つめていた。
でも、その瞳はとても心配げだった。

彼もまた…私と同じ想いなのかもしれない。


一通りの診察を終えた。

「赤ちゃんの大きさから見て…妊娠八週目に入っています…予定日は来年の六月十二日ですね…」

「先生…妻は不育症なんですが…子供は順調に育つのでしょうか?」

「過去の検査記録を見た所…奥様の不育症の原因は不明です…大体、不育症の六割ぐらいが原因の特定には至らないんですよ…仮に原因を特定するとしたら、胎児の染色体異常が考えられます…」

「それは過去に訊きました…では、母体には問題ないと言うんですか?」
「問題はないかと」


「じゃ前回の死産はどう言った経緯でなったのか?説明してください!」
豊は槇村先生に食ってかかった。

「カルテの内容では確か・・・原因不明だと書かれてましたが…」

「何でも原因不明で片づけられて…俺達はどれだけ辛い思いしてると思ってんだよ!!」

「ゆ、豊!!?」
豊は槇村先生を責めた。


「…奥様や貴方のキモチを考えれば…色々と思う節はあると思います。でも・・・医学の発達した今でもまだまだ・・・解明されていないモノもあります。今の所は心音もしっかりしていますし…お腹の子は順調に育っています…そうやって…妊娠した妻に付き添い、診察に来られる旦那様は立派で奥様を深く愛しておられる方が多い。男の俺としても尊敬します。
全力でサポートさせていただきますので…ご安心して、お任せ下さい…神楽坂さん」



豊は槇村先生の言葉に口を噤んだ。

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