Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
朝から手術前の処置を終え、二人でお迎えを待っていた。

「男の子でも女の子でも…名前は歩(アユム)だからね…豊」

「あぁ…」

神楽坂歩(カグラサカアユム)

「ようやく・・・私達…パパとママになれるんだね…豊」

「睦月…」

豊には最後のチャンスだと言われ、戸惑ったけど、そのラストチャンスで長年の夢が叶う。

私も皆と同じようにママになれる…


ママになったら、いっぱいやりたいコトがあった・・・

「睦月…」

今まで、辛かった記憶が走馬灯のように脳裏を掠めていく。

―――空…貴方に会いたかったよ…

貴方の円らな瞳でパパとママを見つめて欲しかった…

でも、それは現実にはならかった。

死産と言う形で幕を下ろした。

そして、豊と離婚・・・

四年の空白を経て…再婚して…妊娠…


そして今が在る・・・


「今から泣いて・・・どうするんだ?睦月」

豊は持っていたタオルで私の涙を拭いてくれた。

「豊…私・・・」

「お前の言いたいコトは分かる…もうすぐ…お腹の子に会える…笑顔で迎えてやろう…」

「うん」

ベットに横たわる私の手を優しく握りしめてくれた。

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