Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
赤ちゃんとの対面は一瞬で直ぐに保育器に入れられ、NICU(新生児集中治療室)へと運ばれた。

「心配ないから…神楽坂さん…」

槇村先生は終始優しい言葉を掛けてくれて、私の子宮とお腹の縫合を施してくれた。

麻酔と鎮痛剤の下肢の感覚はなく、そのまま病室に戻される。

「睦月…赤ちゃん見たわよ…」

「お母さん…」

お母さんは私の見て大粒の涙を流した。

「お母さん…私…ママに・・・やっとママになれた…」

「そうね…」

「よく頑張った・・・睦月」

「お父さん…」


「睦月…ご苦労様…」

「・・・豊…赤ちゃん…男の子だったよ…」

「あぁー…」
――――豊もまた神楽坂家の次期当主としての後継者作りの役目を果たした。

「ありがとう…睦月」

「豊…」

私も涙と嗚咽しか出て来なくて、言葉が出なかった。

< 236 / 249 >

この作品をシェア

pagetop