Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
「豊、知ってた?」

仕事を終え、病室に来た豊に訊いた。

「何を?」

「槇村先生の奥さんってNICUのドクターだって…」

「知らない…そうなの?」

「そうみたい・・・ショックだな・・・」

「何で!?お前がショック受けるんだ?」

「紗羅さんもショック受けてたよ…」

「…二人揃って何だよ…」

「それよりもちゃんと出生届、出してくれた?」

「出したよ…名前は歩だけど…良かったよな…」

「うん…じゃ明日…早速NICUに行って…保育器に名前を書き込んで貰おっ」

「神楽坂さん」

噂をしていたら、槇村先生が縫合傷の消毒に来た。

「・・・傷が痛みますか?」

「まぁ―・・・でも・・・看護師さんに言って…鎮静剤頂きました」

「赤ちゃんにも会いました?」

「はい…槇村先生の奥さんにも会いました…」

「遥に会いましたか…神楽坂さんにもバレちゃったのか…俺が既婚者だって…」

「既婚者だとバレると何か不都合あるんですか?」

「・・・別にありませんよ…でも、遥の方が…早産した妊婦さんたちから同じ質問を繰り返され、うんざりしているみたいです…そのうち・・・仕事場では旧姓で通すかもしれませんね」

「そうなんですか・・・」

「・・・傷の具合も大丈夫ですね…無理はせず…明日も癒着防止の為、歩行訓練をして下さい…」

「ありがとう御座います・・・」

< 243 / 249 >

この作品をシェア

pagetop