Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
「今日は簡単に出来るイタリアンの講習会にご参加してくださり、有難うございます。講師を務めます神楽坂睦月です。よろしくお願いします」

私は一番前のフロントの調理台に立って、生徒たちに挨拶と自己紹介、スクールの簡単な説明を行った。

そして、講習会で調理するレシピの説明。

「スープは野菜たっぷりのミネストローネスープ、茹でるだけで出来るオイルパスタ、サラミとチーズ、茸のカルツォーネ、そしてデザートは簡単ティラミスです」

生徒さんたちは調理台に置いたレシピのレジメを覗きながら、私の説明を訊いていた。


材料と必要な調理器具を説明すると

「よろしくお願いします」と生徒さんたちの揃った声で、調理が開始。

準備が整ったのを見計らって、私と山城さんがフロントの調理台で、デモストレーションしていく。

豊の大好きだったミネストローネスープ、そしてティラミス。

私の普段よりも調理に熱が入った。

偶然とは言え、彼のダイスキで美味しい美味しいと言って食べてくれたレシピ。

彼の為に調理が出来る喜びを噛み締め、兄貴に感謝する。

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